愛を語る

大げさなタイトルをつけてしまいましたが、「フランス語は愛を語るための言葉」と言われるくらいですから、「愛」なくしてフランス語は語れないというのも真理かも知れません。メールアドレスのご相談を見ても「愛」「好き」「大好き」といったキーワードを多くの方が好んでいらっしゃるようです。そこで、このコーナーで「愛」に関するフランス語表現をまとめておこうと思います。

1.フランス語で「好き」は何て言うの?
とてもよくいただくご質問です。そして、一番困ってしまうご質問でもあります。なぜなら、日本語の「好き」の品詞は形容動詞で、これは状態をあらわすものなんですね。でもフランス語には形容動詞というものが存在しません。ですから、「好きだ」という気持を表したいときは、「好む」という動詞を使うことになります。そして、フランス語の動詞は必ず主語と一緒に使わなければ意味をなしません。日本語では相手に向かって「好き!」と告白したり、手紙やメールに「好き!」と書くことができますよね。でもフランス語では、「好む」という動詞
aimer(エメ)だけを使って同じように「好き!」を表わせるかと言うと、そうはいかないのです。「誰々が誰々を好いている」という、主語と目的語を備えた文章にしないと、相手を好きだという意味にはならないのです。ここが日本語とフランス語との文法構造の違いということになります。結論を言うと、「好きだ」という意味の動詞はaimerですが、「好き」と相手に伝えたいときは、Je t'aime.(ジュ テーム)という文章にする必要があります。Je t'aime.は英語のI love you.にあたります。

2.「愛」と「恋」は違う?
「愛」にあたる名詞は
amour(アムール)です。けれども、この単語は「恋」という意味でも使います。日本語では「愛」と「恋」は違うのに…などと言っても始まりません。言語間の相違はどうしようもないことなのですから。言葉は単語ひとつだけで成り立つこともありますが、多くは文脈の中で使われてこそ、適切な意味を発揮するものです。ですから、前後関係があれば、これは「愛」のニュアンスなんだな、こっちは「恋」というニュアンスに近いな、などと読み解くことができます。 ちなみに、Amourと頭を大文字で書くと、愛の神すなわちキューピッドの意味になります。
「恋している」という表現なら、別の言い方があります。
amoureux(アムルー)という形容詞を使います。ただし、「ウルトラ超入門」のコーナーでも説明してあるように、フランス語の形容詞は変化します。男の人が「僕は君に恋してる」なら、Je suis amoureux de toi.(ジュ スュイ アムルー ド トワ)となり、女の人が「私はあなたに恋してる」なら、Je suis amoureuse de toi.(ジュ スュイ アムルーズ ド トワ)となります。

3.loveとlikeにあたるフランス語は?
ご存知のように、英語ではloveとlikeを区別しますね。でもフランス語ではどちらも
aimerという動詞を使いますので、これが「好き」の意味にも「愛してる」の意味にもなります。強い愛情をあらわすか、そうでないかは、一緒に使う副詞や文脈で判断します。この動詞を使って例を挙げてみましょう。フランス語の動詞は主語によって変化するので、aimeというスペルになっています。
Je t'aime.(ジュ テーム)  (君を)愛してる
 これがもっとも愛情深い表現です。英語のI love you.に相当します。
Je t'aime beaucoup.(ジュ テーム ボクー) (君が)大好き
 beaucoup「たくさん」という副詞がついていますが、対象が人の場合、この表現はJe t'aime.より意味が弱まり、恋愛感情なしに「大好き」という意味になります。
Je t'aime bien.(ジュ テーム ビヤン) (君を)好き

 
bienは通常「とても」という意味の副詞なのですが、Je t'aime.につける場合には強めにはなりません。「嫌いじゃない」程度の軽い「好き」の意味になります。
「大好き」をあらわす別の動詞として、
adorer(アドレ)もあります。これはaimerを強調して「熱愛する」という意味になります。
Je t'adore.(ジュ タドール) (君が)大好き

4.「愛してる」「君を愛してる」「あなたを愛してる」「僕は君を愛してる」「私はあなたを愛してる」の違いは?
これらはすべて、
Je t'aime.でOK!まず日本語をよく考えてみましょう。単に「愛してる」というのは「誰が」「誰を」愛しているのでしょうか?言葉にはあらわれていませんが、「私が」「君を(あなたを)」愛しているということですよね。フランス語では基本的に、文章として成立するためには主語が必要です。ですから日本語では隠されている「私は(僕は)」を必ずつけなくてはなりません。同様に、誰を愛しているのかも明確にする必要がありますので、「君を(あなたを)」にあたる言葉が必要です。
次に、「君を」と「あなたを」の違いですが、実はこれはちょっと厄介です。「君を」のほうは、te(この場合t'と省略される)でよいのですが、「あなたを」のほうは考え方によります。「君を」が、男が女に向かって言う場合、「あなたを」が、女が男に向かって言う場合、と考えるなら、どちらもまったく同じJe t'aime.になります。一方「あなたを」が、尊敬をこめた丁寧な言い方だと考えるなら、
Je vous aime.(ジュ ヴゼーム)と変わってきます。ただし、これは日本語の丁寧語にあたるわけではありません。説明が難しくなりますが、フランス語では、相手が自分にとって親しい間柄か、そうでないかによって、英語のyouにあたる言葉を使い分けるのです。もうお付き合いしている相手なら、当然親しい間柄ですから、その場合は日本語でどうであろうと、フランス語ではすべてJe t'aime.です。Je vous aime.を使うのは、現代では、まだ打ち明けられない相手、まだ親しくなっていない相手に思い切って告白するときくらいでしょうか。

5.花占い
マーガレットの花びらを一枚一枚むしりながら、「好き」「嫌い」「好き」「嫌い」というふうに言う、花占いがありますね。あれのフランス語版です。あなたの恋の行方を占いながら、フランス語もちょっと覚えてみませんか?日本語ですと確率5割なのでドキドキしてしまいますが、フランス流なら嫌われる確率は20%です(笑)

Il m'aime (イル メーム) 彼は私を好き
un peu (アン プー) ちょっと ←ここからむしりはじめます
beaucoup (ボクー) とても
passionnémet (パスィオネマン) 情熱的に
à la folie (ア ラ フォリ) 気も狂わんばかりに
pas du tout (パ デュ トゥー) ぜんぜん(好きじゃない)


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