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この場合の que の役割について
日時: 2008/07/05 18:27
名前: クルツ

てふママさん、おひさしぶりです。
さっそく質問をさせていただきます。すこし長くなりますが下の文章をお読みください。

Pouvoir faire impunement du mal a autrui ―― par exemple passer sa colere sur inferieur et qu'il soit force de se taire ―― c'est s'epargner une depense d'energie, depense que l'autre doit assumer. De meme pour la satisfaction illegitime d'un desir quelconque. L'energie qu'on economise ainsi est aussitot degradee.

これは、シモーヌ・ヴェーユ『重力と恩寵』のなかの一節ですが、とくにお訊きしたいのは、「 et qu'il soit force de se taire 」とある箇所についてです。「罰せられることなしに他人に害悪を加ええること――たとえば目下の者にあたりちらしておきながら、相手にはしいても口をつぐませる場合など――それは、自分にとってはエネルギーの費消を免れることであり、その分だけ他人がエネルギーの費消を引き受けなければならない。云々」文意はおおむねこういうことで不都合はないと思うのですが、一読してだいたいの文意はつかめても、 et qu'il soit force de se taire の que の働きといいますか、その役目がなんだかわからないんです。そのせいか、ここで接続法を用いることで生じているはずの文体上のニュアンスも分明でないのです。端的にいって、この que は何でしょうか。 passer sa colere 以下と同格的に並列するための名詞節を導くものと判定するのが順当でしょうか。ご教示よろしくお願いします。

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Re: この場合の que の役割について ( No.1 )
日時: 2008/07/05 22:20
名前: てふママ

クルツさん、こんばんは。

queは、前後関係から判断して、pour queと同義だと思います。ただ、qu'il soit forcé de se taireが、sur inférieurと並列と考えるのは多少無理があるように感じます。passer sa colère sur ...は、それで固定した表現ですので、passer sa colère qu'il soit...と繋げるのは不自然だからです。独立した副詞節を構成していると考えたほうがよいように思います。queの前にfaire pourを補って考えるのが一番自然で、「たとえば目下の者に八つ当たりする、そしてその人が口をつぐまざるを得ないように(する)」ということかなと思います。
Re: この場合の que の役割について ( No.2 )
日時: 2008/07/05 23:18
名前: クルツ

ご返信拝読。
ぼくの書き方がよくありませんでした。「passer sa colere 以下と同格的に並列するための名詞節を導くもの」としての que といいました本意は、 par exemple という副詞句に導き出されて、まず「passer sa colere sur inferieur」があり、ついでこの不定詞+補語の句と「il soit force de se taire」とが並列的に置かれるように、これを不定詞と等価な名詞節とするために que を添えたという考え方だったのですが、如何でしょうか。「Pouvoir faire impunement du mal a autrui」の例証として、A(passer sa colere sur inferieur)があり、またそれと関わりながら次例B(qu'il soit force´ de se taire)もあるというふうに。
さらにご教示の内容に添ってひとつ疑問をぶつけてみますと、おっしゃるようにこれを独立した副詞節とする場合、理解の仕方として faire qu'il soit force´ de se taire とように単に faire を補うのが自然に感じられ、ご返信に付して下さった訳文「そしてその人が口をつぐまざるを得ないように(する)」にもぴったりするように愚考するのですが、如何でしょうか。これはぼくの間違いだとして、さて、そうなってみてもいぜん faire pour que を補ってはうまく読めないといいますか、適当な辞書の記載がなくって無理なく理解する手だてがないといいますか、どうぞこの点も合わせて教えて頂けるとさいわいです。よろしくお願いします。
Re: この場合の que の役割について ( No.3 )
日時: 2008/07/05 23:25
名前: クルツ

(瑣末ながらいくらか脱字がありましたので念のため訂正版を載せておきます)
ご返信拝読。
ぼくの書き方がよくありませんでした。「passer sa colere 以下と同格的に並列するための名詞節を導くもの」としての que といいました本意は、 par exemple という副詞句に導き出されて、まず「passer sa colere sur inferieur」があり、ついでこの不定詞+補語の句と「il soit force de se taire」とが並列的に置かれるように、これを不定詞と等価な名詞節とするために que を添えたという考え方だったのですが、如何でしょうか。「Pouvoir faire impunement du mal a autrui」の例証として、A(passer sa colere sur inferieur)があり、またそれと関わりながら次例B(qu'il soit force´ de se taire)もあるというふうに。
さらにご教示の内容に添ってひとつ疑問をぶつけてみますと、おっしゃるようにこれを独立した副詞節とする場合、理解の仕方として faire qu'il soit force de se taire というように単に faire を補うのがぼくには自然に感じられ、ご返信に付して下さった訳文「そしてその人が口をつぐまざるを得ないように(する)」にもぴったりするんじゃないかしらと愚考するのですが、如何でしょうか。これはぼくの間違いだとしても、さて、そうなってみてもいぜん faire pour que を補ってはうまく読めないといいますか、適当な辞書の記載がなくって無理なく理解する手だてがないといいますか、どうぞこの点も合わせて教えて頂けるとさいわいです。よろしくお願いします。
Re: この場合の que の役割について ( No.4 )
日時: 2008/07/06 00:32
名前: てふママ

>Pouvoir faire impunement du mal a autrui」の例証として、A(passer sa colere sur inferieur)
>があり、またそれと関わりながら次例B(qu'il soit force´ de se taire)もあるというふうに。

こういうことでしたら、まったく問題なく、その通りと思います。

pour que については、私が余計なことを書きすぎたようです。queの用法がわからないと最初におっしゃっておいででしたので、独立させて考える場合、pour queと同じニュアンスととれば、はっきりと意味が確定できると思ったからです。
意味を通すためにfaireを冒頭に置くとすれば、確かにfaire qu'il soit ...が正しい表現ですね。それではfaire que+接続法とは何かと考えた場合に、exercer sa volonté, sa puissance pour queという説明が辞書にありますので、pour queを補えば更にわかりやすいかなと思い、解説的に書いてみました。faire que+接続法、ということだけで理解していただけるのでしたら、pourに言及する必要はありませんでした。
Re: この場合の que の役割について ( No.5 )
日時: 2008/07/06 00:54
名前: クルツ

ご回答拝見。
隈なく了解できたように思います。独学ゆえ、じぶんの読み取り方にいつまでも自信がなくって困ります。てふママさんにそれでよろしいと言っていただくと考えが定まって次に進んでゆけます。
どうもありがとうございました。このつぎもよろしくお願いします。

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