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pas 否定の範囲
日時: 2010/06/18 14:52
名前: クルツ

てふママさん、こんにちは。

さっそくですが、つぎの文章をお読みください。

Il y avait deux trains sur les voies. L'un etait un train militaire ou les soldats, debrailles, observaient la foule avec des yeux goguenards.
On ne montait pas encore dans l'autre. Pas tout le monde. Des gendarmes contenaient la foule.

教えていただきたいのは、Pas tout le monde というところです。これは、tout le monde ne montait pas dans le train という風に解してよろしいんでしょうか。そうすると、「別の列車に乗っているものはなかった。(みんな、つまり)だれひとり乗ってはいなかった」と、類似の内容を畳みかけるような感じになると思いますが、それなら personne をつかった方が適当なのに、とも考えられます。実は、はじめに一読した折は、「乗れないのはみんなではなかった」つまり「部分的には乗っている人もいた」と読んでいたんですけれど、詮索しているうちに紛糾してきました。文脈にそって考えても、どちらでも意味が通じるのでなお決めかねております。前節が肯定文ならあまり悩まないんですけれど、否定文のあとに、部分的な要素の否定がつづくとこのように混乱することがよくあります、これはその一例ですが、如何でしょうか。よろしくお願いします。

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Re: pas 否定の範囲 ( No.1 )
日時: 2010/06/18 18:05
名前: てふママ

クルツさん、こんばんは。

Pas tout le monde. だけで解釈しますと、どう考えてもtout le mondeを否定しています。「みんな、というわけではない」ですね。
また、Tout le monde ne montait pas dans le train. も同じで、tout le mondeを否定文で用いると、「みんなというわけではなかった」であり、ne personneの意味には取るのは無理だと思います。
ただ文脈からすると、「もう一方の列車には、まだ誰も乗り込んでいなかった」を受けて、「だが、全員が乗っていないわけではなかった」と考えると、ずいぶんおかしなことになってしまいますよね。

私の解釈では、tout le mondeは前段を敷衍するものではなく、むしろ続くDes gendarmes contenaient la foule. の理由付けのような気がします。
流れに沿ってみると、「もう一方の列車には、まだ誰も乗り込んでいなかった。全員はだめなのだ。(だから)憲兵達が、群衆を押しとどめていた」
あるいは、Pas tout le monde. は、地の文ではなく、憲兵達が群衆に向かって言っている言葉(ないしは心の中で思っている言葉)「全員は乗れないぞ」とも考えられます。
いかがでしょうか?
Re: pas 否定の範囲 ( No.2 )
日時: 2010/06/18 18:56
名前: クルツ

ご返信ありがとうございます。

疑問が氷解しました。てふママさんの解釈はどちらも、文脈に照らして同じくらいぴったりしますが、おそらく基本的には後段の理由づけという意味合いなんだと思います。

文法書をめくって、tout の否定の解説をみつけて、なるほど「みんな〜というわけではない」ということになるのは確認したはずなんですが、前段との関係にとらわれてしまい、てふママさんのように考えることができませんでした。

ちなみに文章はシムノンの小説『Le train』からです。読み始めたばかりでこの疑問にぶつかりました。また同じ小説から質問させていただくかもしれません。よろしくお願いいたします。

では、ありがとうございました。

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