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mais の用法
日時: 2010/11/26 20:42
名前: クルツ

てふママさんこんばんは。
さっそくですが、次の一文をお読みください。

Quelqu'un qui vous a écrit cette lettre ne déguisait pas son écriture par crainte que vous la reconnaissiez mais par crainte que M.Bouvier l'identifie.

これを直訳するとーーあなたに手紙を書いた人物が筆跡を変えたのは、あなたにそれとさとられるのを怖れたためではなく、B氏に差出人の身元を特定されるのを怖れたためであるーーというふうになると思います。つまり、結局のところ、筆跡を変えたと読んだわけですが、間違いないでしょうか。前後の文脈からいってもこう読むほかないのですが。訳者がこれを、〜を怖れ、かといって〜も困るので、筆跡を変えなかった、としているのを読み、不審を覚えたしだいです。前段で、問題の手紙の筆跡のことをことさらに caractères bâtonnets といって紹介するくだりもありますが、そういう文脈を離れてこの一文だけ読んでも、おおかた間違いないように思うのですが、いかがでしょうか。

よろしくお願いいたします。

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Re: mais の用法 ( No.1 )
日時: 2010/11/27 01:01
名前: てふママ

クルツさん、こんばんは。

これはクルツさんの解釈が正しいと思います。とりわけ、mais以下にpar crainte queを繰り返していることから、「〜を怖れてではなく、〜を怖れてのことだった」と取らなくてはいけないですよね。コンテクストなしに読んでも、そうしか解釈できませんし、内容から言っても、筆跡を変えなかった理由がB氏に身元がバレるを怖れたためというのは、論理が通りませんものね。訳者は、否定の掛かり具合を勘違いされたのでしょう。
Re: mais の用法 ( No.2 )
日時: 2010/12/01 21:52
名前: クルツ

ご返信ありがとうございます。
ご解説はすぐに読ませていただいたのですが、このところ多忙をきわめ、お礼を申し上げるのがおくれてしまい、まことに失礼いたしました。

てふママさんのお墨付きを得て、すっきりしました。
こんどはジイドを読み始めております。きっとどこかでつまづくでしょうから、その折はまたよろしくお願いいたします。

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