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imaginer + infinitif
日時: 2011/05/18 01:10
名前: クルツ

てふママさん、こんばんは。
お久しぶりです。さっそくですが、つぎの文章をお読みください。

En confiance, l'espoir renaissait dans mon coeur ; que dis-je : espoir ? c'etait deja de l'assurance, et que j'imaginais sentir egalement chez Alissa ; car je doutais si peu de moi que je ne pouvais plus douter d'elle.

ジイドの『狭き門』の一節です。お訊きしたいのは、que j'imaginais sentir egalement chez Alissa の部分なのですが、これは前の de l'assurance を sentir が受ける形と見ていいでしょうか。とすると sentir の主格はこの場合 je のほかはないと思うのですが、いざ日本語に変換して理解しようとするとすっきりといきません。前後の文脈から見て文意はだいたいわかるのですが、いざ仔細に立ち入るとそれほど自明ではない気がします。各種辞書を参照しても、de を介さずに不定詞を取る imaginer の用法に関する記載がありません。ジイドのものをいくつか読んで、いわば変則的な(?)構造の文章(たとえばひとつの他動詞が文法的には異種類の目的語[モノの目的語のあとに関節疑問を併置するたぐい]をいくつか有したり)にいくどもぶつかりましたが、これも一種の変則として許容されるのでしょうか。ご教示よろしくお願いいたします。

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Re: imaginer + infinitif ( No.1 )
日時: 2011/05/18 22:16
名前: てふママ

クルツさん、こんばんは。

sentir の主格がjeであることは、ほとんど間違いないと思います。imaginer+inf. という用法については、私も探して見ましたが、まったく見つかりませんでした。このimaginerは、ほとんどそのシノニムであるcroire と同義と思われますので、croire+inf. の用法に影響されたのかなと思います。本来ないはずの用法でも、類義語の用法に影響を受けてしまうことはたびたびあります。本来誤用であったものが、もう許容されてしまった例もありますし、シビアな文法家からは、未だに誤用だと断じられるけれども、流通してしまっているという場合もあります。現代でもimaginer+inf. は実際に使われていますけれど、それがどの程度の許容度なのかは、よくわかりません。

sentirの目的語がde l'assuranceであると断定するのは、ちょっと迷います。どちらでも結局は同じ事になるのでしょうが、espoirかなとも思います。

相変わらず、引越後の荷物を展開するスペースがなく、本がほとんどダンボールの中なので、翻訳を参照できないのですが、ご覧になりましたか?
Re: imaginer + infinitif ( No.2 )
日時: 2011/05/18 23:50
名前: クルツ

ご回答ありがとうございます。

類義語の用法に影響を受けるということは、文法書がなかなか言明してくれないことなので、たいへん有益でした。誤用を含め、絶えず生動するフランス語を解説する周到な文法書があるといいのですが。

新潮文庫の山内訳では、どちらかというと assurance を目的語にとる解釈になっていました。ただ、sentir の主格をアリッサにする訳し方で、文の構造を理解するためのヒントにはあまりならなかった次第です。

てふママさんのご解説をうかがい、ここで croire でなく imaginer を用いたのは、主人公ジェロームの感情の先走りといいますか、独り合点のニュアンスを簡明に浮き立たせる効果のためなのかなと考えました。

いつもありがとうございます。次回もよろしくお願い申し上げます。

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