Re: 等位節をつなぐ ni について ( No.1 ) |
- 日時: 2013/11/21 23:20
- 名前: てふママ
- クルツさん、こんばんは。
ne 〜 (pas) ni … の用法は、「〜でもなければ…でもない」ということですから、Je ne l'aime ni ne l'aime pas. は、「je l'aime でもなければ、je ne l'aime pas でもない」というになりますね。この文の場合、たまたま最後がpasだったために、混乱しそうですが、「AでもなければBでもない」という単純な考え方をすれば、特に不思議な構文というわけではなくなります。
さて、aimerを他の動詞に置き換えても、例外なく同種の意味になるかというという点についてですが、文法的にはそうだと思います。ただし、現実的にどんな動詞でも置き換え可能かというと、そうではないでしょう。おそらく、aimerのような感情・願望の感情をあらわす動詞で使うのがほとんどだと私は考えています。 少し調べてみましたが、以下のような文が実際に見つかりました。
Je n'aime ni n'aime pas voyager en avion. Pour moi, je ne l'espère ni ne l'espère pas, (…). Je ne le veux , ni ne le veux pas entièrement. Je ne le souhaite ni ne le souhaite pas.
aimer, espérer, vouloir, souhaiter と、いずれも感情・願望をあらわす動詞です。この種の動詞なら、人間のどっちつかずの感情をあらわすので、ne 〜 (pas) ni … の構文にふさわしいと考えられますが、行為をあらわす動詞ですと、この使い方はまずしないのではないかと思います。例えば「行くのでもなければ、行かないのでもない」という文があり得るかと言えば、ちょっと考えにくいでしょう。行為そのものは必ずどちらかであるわけで、曖昧になるのは、それに感情または他者の判断が伴うときではないでしょうか。
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Re: 等位節をつなぐ ni について ( No.2 ) |
- 日時: 2013/11/26 22:01
- 名前: クルツ
- 早くにご回答をいただいておりましたのに、ご返事がおくれましてたいへん失礼いたしました。
仕事と身辺の問題が同時にやって来て身動きできずにおりました。申し訳ありません。
さて、ご回答を承り、さらに二点ほど質問をさせていただきたく思います。
その1:ne 〜 ni ・・・ が「〜でもなければ・・・でもない」を意味し、後半が「ni ne ・・・ pas」という形であれば、「ne ・・・ pas でもない」という意味になるということでした。そうしますと、はじめのスレッドの例文@を「Il ne boit d'alcool ni ne fume pas」と書き替えますと、やはり「il ne fume pas でもない」というふうに文法的にはなるということですね(こういう不自然な文章は成立しないと思いますが)。
その2:つぎのような文はどうなるでしょうか。 @ Elle ne l'aime ni n'aime personne. A Elle ne le regrette ni ne regrette rien. B Elle ne cache ni ne montre rien.
@ 彼女は彼を愛していないし、誰も愛していない。/ 彼女は彼を愛していないし(が)、誰も愛していないのではない。 A 彼女はそのことを後悔していないし、何も後悔していない。/ 彼女はそのことを後悔していないし(が)、何も後悔していないのではない。 B 彼女は何も隠さず何も見せない。/ 彼女は何も隠していないし(が)、何も見せないわけではない。
うしろに pas が来ると、はっきりしたサインとして「ne ・・・ pas でもない」というふうに二重否定ととれるということでしたが、rien や personne だとまた少し混乱してしまいます。ご教示よろしくお願いいたします。
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Re: 等位節をつなぐ ni について ( No.3 ) |
- 日時: 2013/11/28 22:22
- 名前: てふママ
- こんばんは。
お忙しい折には、どうぞお返事のことはお気になさいませんように。
その1:おっしゃる通りです。文法的にはそうなると思います。
その2:pasではなくpersonne / rienが使われた場合は二重否定にはならないと思います。 @ A はちょっと不自然ですが、B ははっきりしていますね。「彼女は何も隠さず何も見せない」という意味になり、単に Elle ne cache rien et ne montre rien. と同等ということですね。
@は可能だとすれば、やはり前半の解釈ということになると思いますが。まあ一般的にはむしろ、Elle ne l'aime pas et n'aime personne. となるだろうと想像します。
そもそも 最初のスレッドの Je ne l'aime ni ne l'aime pas. と、今回の@ABの文とでは、最初のneの機能が異なるように思います。@ABはいずれも、最初のneは、前半だけの否定を構成していますが(@ですと、「彼女は彼を愛していないばかりか、誰も愛していない)、Je ne l'aime ni ne l'aime pas. では、前半は完全な否定ではありませんよね。こういう言い方が正確かどうかわかりませんが、@ABの最初のneは、neの基本的使い方である「動詞を否定」する用法で、一方 Je ne l'aime ni ne l'aime pas. のほうの最初のneは、前半の節全体を否定している(je l'aime という事実の否定)といった印象です。
なんとなく掴めてはいるのですが、どうも論理的に説明することができません。
実際に存在するいくつかの例を参考にあげておきます。
1) Il ne hait, ni n'aime personne. 彼は誰も憎んでいないし、好きでもない。 2) Je ne déteste ni n'aime personne en particuier. 私はとくに誰も嫌っていないし、好きでもない。 3) Il ne sort avec personne ni n'aime personne. 彼は誰とも出かけないし、誰も好きではない。 4) Il ne parle ni ne comprend aucune langue. 彼はどんな言葉も話さないし解さない。
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Re: 等位節をつなぐ ni について ( No.4 ) |
- 日時: 2013/12/03 21:19
- 名前: クルツ
- てふママさん、こんばんは。
懇切なご解説どうもありがとうございました! またまたご返事とお礼がおくれまして、たいへん失礼いたしました。 例文も提示していただき、とてもよくわかりました。次の機会もなにとぞよろしくお願いいたします。
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