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感嘆文…?:和文仏訳考
日時: 2006/06/20 21:24
名前: club_3
参照: http://blog.goo.ne.jp/club_3/

てふママさま、いつもお世話になっております。
仏文のニュアンスの違いについて教えて下さい。

和文「きょうは○○(場所の名)は たいへんな人ですこと!」(18世紀の貴婦人が述べている台詞)に対して、次の3つの仏訳があります。

A:Quel monde à ○○ aujourd'hui!
B:Aujourd'hui à ○○,il y a foule!
C:Il y a foule aujourd'hui à ○○!

Aの文は、フランス語の感嘆文の形になっています。和文の解釈の問題もあると思いますが、和文を見た時に、私は感嘆文で表現することは全く思いつきませんでした。

しかし、B・Cの文も、感嘆文の一種なのでしょうか?

Aは和文を感嘆文と解釈して表現したもの、B・Cは平叙文として解釈したもの、と思っておりました。
ところが、ちょうど先日、フランス人の先生から、「フランス語の感嘆文は“Quel〜”で表現するものと思われているけれど、実際はQuel+nomは10%くらいの使用頻度、Comme+文が20%、Que+文が20%、普段使われるのは圧倒的に“Il est beau〜〜〜!”“C'est boooooon!”など、平叙文を使った表現」と説明を受けました。

では、Il y a foule!という文にも、感嘆文のニュアンスがあるのかな?と疑問に思いました。

18世紀と現在では違いもあるでしょうが…

なお、ここで「感嘆文」と記したのは、文法用語としての「感嘆文」でなく、あくまでも「感嘆(感動)を表す文」という意味です。

文法的な問題だけでなく、和文の解釈も絡んでいますのでどちらに投稿しようか悩みましたが、「感嘆文」についての質問を主にさせていただきたいと思い、こちらに投稿させていただきました。

ご教示、よろしくお願いいたします。m(_ _)m

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Re: 感嘆文…?:和文仏訳考 ( No.1 )
日時: 2006/06/20 21:53
名前: てふママ

「感嘆文」が文法用語としての「感嘆文」ではなく、「感嘆(感動)を表す文」ということなら、話は簡単です(ダジャレではない!)
なぜなら、BもCも感嘆符がついているではありませんか。これが感嘆文でなくて何でしょう?

和文のほうも、私は一読して感嘆文だと思いましたよ。和文に感嘆符がついているのも理由のひとつですが、「こと」が使われているのがもっと大きな理由です。国語辞典によれば、「こと」の用法のひとつに、「軽い感動をあらわす」というのがあります。ただし、いわゆる「何と〜なのでしょう!」という感嘆文より感嘆の度合いが軽く聞こえるのは確かですから、これを仏訳するとすれば、私ならBかCを選ぶと思います。

Il y a foule.とIl y a foule ! では、大きな違いがあると考えるべきでしょう。これを実際口に出すとすれば、当然口調も違ってくるでしょう。Il y foule !という文に感嘆文のニュアンスがあるかと言われれば、もちろん「ある」ということになります。けれども、文そのものに感嘆のニュアンスがあるというより、発話者がその文に感嘆のニュアンスをこめたいかどうかに関わってくることになります。感嘆符をつけたのは、発話者が感嘆をこめたいと思ったからにほかなりません。
Re: 感嘆文…?:和文仏訳考 ( No.2 )
日時: 2006/06/20 23:05
名前: club_3
参照: http://blog.goo.ne.jp/club_3/

てふママさま、早速のご回答、どうもありがとうございました。

なるほど…「文型が感嘆文として成立するのか否か」などと、本末転倒なことを考えていたのが、そもそもの間違いだったのですね…
恥ずかしながら、「!」を日本語で「感嘆符」ということを、すっかり忘れておりました…(^_^;)


>「こと」の用法のひとつに、「軽い感動をあらわす」というのがあります。ただし、いわゆる「何と〜なのでしょう!」という感嘆文より感嘆の度合いが軽く聞こえるのは確かですから、これを仏訳するとすれば、私ならBかCを選ぶと思います。

このこと(それぞれの文が持つニュアンスについて)も、教えていただきたかったことの1つです。字数が多くなってしまったので、後で質問させていただくつもりでした。教えていただいて、大変勉強になりました。


すみませんが、実は、もう一つ教えていただきたいことがあります。

Aの文では、à ○○ aujourd'hui
BとCの文では aujourd'hui à ○○
と、語順に違いがあります。

これは、何故なのでしょうか…?

例えば、以下のように解釈できますでしょうか?
それとも、この場合の語順は、柔軟性を持っているのでしょうか…?

Aは、monde à ○○ とaujourd'hui に分かれる:「今日は、○○における人出は、たくさんだ!」

BとCは foule とaujourd'huiと à ○○!に分かれる:「今日の、人出は、○○では、たくさんだ!」
または、
BとCは foule aujourd'hui à ○○!はひとくくり:「今日の○○の人出は、たくさんだ!」


重ねてで申し訳ありませんが、どうぞよろしくお願いいたします。m(_ _)m
Re: 感嘆文…?:和文仏訳考 ( No.3 )
日時: 2006/06/21 00:47
名前: てふママ

Aは、Quel monde とà ○○と aujourd'hui !との3要素に分かれますね。Quel monde と à ○○の間には、il y aが省略されていると考えてください。ですから、「○○における人出」とつなげて考えることには無理があります。
これは極めてノーマルな語順で、何も特別な理由がない場合、文末に置かれる状況補語は「場所」をあらわすものが先、「時」をあらわすものが後に来ます。フランス語では各要素を、短いものから長いものへと並べるのが普通ですので、この場合でも、もし場所をあらわす状況補語が何らかの理由で長くなるとしたら、文末に来るでしょう。日本語ではおおむね逆になりますから、Aの解釈は「今日は、○○では、なんという人出でしょう」となります。

>BとCは foule とaujourd'huiと à ○○!に分かれる
これは正しいと思います。
論理的な説明はできないのですが、Bの文で、À ○○ aujourd'hui...という語順にできるかというと、まずほとんど言わないでしょう。おそらくil y aという表現のなるべく近くに、場所の状況補語を起きたいという意識が働くからだと思います。il y a と時の状況補語aujourd'huiは意味上の結びつきがより薄いわけです。「今日の○○は、すごい人出ですね!」

Cに関しては、Bを単に入れ替えただけですね。「すごい人出ですね、今日の○○は!」
これは、Il y a foule à ○○ aujourd'hui !という語順にすることももちろん可能ですが、論理的になりすぎるので、避けたということでしょうか。文の最後に聞こえた要素が、相手には印象に残るので、Cは時より場所のほうを印象づけたかったということは言えると思います。

一般的に言って、フランス語では語順にとても柔軟性があります。会話となるとなおさらです。頭に浮かんだ言葉をそのままの順番で置いていると考えるのが一番わかりやすいと思います。とくに感嘆文の要素がある場合、頭の中で推敲してから話すわけではありませんしね。

あまり「何故」というご質問にお答えしたことにはなっていませんが、説明しきれないことも確かです。
Re: 感嘆文…?:和文仏訳考 ( No.4 )
日時: 2006/06/21 06:43
名前: club_3
参照: http://blog.goo.ne.jp/club_3/

てふママさま、丁寧なお答え、ありがとうございました。m(_ _)m
とても勉強になりました。
いつもながら、わかりやすいお答えに、感謝・感謝!!です。

また、よろしくお願いいたします。

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