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暗喩表現
日時: 2017/12/19 18:40
名前: Aqua

「Ici on loge à pied, à cheval et en peinture.」

「ここでは恵まれない方、富める方 さらに芸術家を泊めています。」という翻訳です。
マルク・シャガールゆかりのホテルレストラン「La Colombe D'Or」の創業者の言葉です。

徒歩で来る人を「恵まれない方」、馬に乗ってくる人を「富める方」という暗喩を用いるのは、 この文章だけのことなのでしょうか?
それともフランス語ではよく用いられること、もしくはフランス語だけでなく海外全体の傾向でしょうか?

日本で想定した場合、徒歩で来る人を恵まれない(貧しい方)とするのは誤解を生むので、そこに文化の違いがあるのではないかと思いました。
ご説明お願いします。
メンテ

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Re: 暗喩表現 ( No.1 )
日時: 2017/12/19 22:46
名前: てふママ

まず、暗喩は大変良く使われる修辞法です。英語はさらに頻度が高いと思います。そんなにたくさんの言語を知っているわけではありませんから、海外全体と言えるかどうかはわかりません。
フランス語に限って言えば、例えば「部分で全体をあらわす」とか「全体で部分をあらわす」といった表現がたくさん見られます。こういった傾向は、文学の最初は韻文だったことと関係があると思います。韻を踏むためには、すでに存在する単語だけではどうしても足りなくなり、別の言い回しで同じものをあらわすことが必要になります。

「ここでは恵まれない方、富める方 さらに芸術家を泊めています。」は、翻訳としてはどうでしょうか。
この文は明らかに「à pied, à cheval et en voiture」(あらゆる手段で)という慣用表現のもじりです。同題の映画が1957年にあります。voiture(おそらく当初は「馬車」の意味です)を使うところをpeintureに置き換えた(voitureと韻を踏んでいますから、洒落ています)ところが、創業者の芸術に対する嗜好をあらわしています。確かに徒歩で来る人はお金がなく、馬で来る人は金持ちかも知れませんが、その部分に大きな意味を持たせているのではないと思います。私は「どんな方も画家の方もお泊めしています」程度のニュアンスではないかと考えています。
メンテ
Re: 暗喩表現 ( No.2 )
日時: 2017/12/20 01:29
名前: Aqua

この翻訳はフランス語の教育番組のものです。
翻訳の解釈が違う可能性があるのでしょうか、驚きです。
この件に関しても引き続き探ってみようと思います。
翻訳の印象として差別的な表現だなと思いました。誰でもという意味は同じだとしても。


「à pied, à cheval et en voiture」という慣用表現があったのですね。
これは伺ってみないと知ることができませんでしたので、質問して良かったです。


創業者は『Paul Roux』という方です。
https://www.saint-pauldevence.com/histoire-patrimoine/ils-ont-marque-saint-paul-de-vence/
ここのHPにも文章が載っています。1932年のことのようです。
この時代、車ありますよね? 
馬車・・・?という新たな疑問が湧きましたが、慣用表現をもじる為にあえてということでしょうか。

メンテ
Re: 暗喩表現 ( No.3 )
日時: 2017/12/20 14:15
名前: てふママ

誤解があるようですので付記します。私が「翻訳としてはどうでしょうか」と書いたのは、翻訳の解釈が間違っているという意味ではないのです。翻訳とは原文のニュアンスを最大限に生かし、それを他言語が母語である人々に自然に理解してもらえるような文に置き換えることだと私は思っています。解釈と翻訳は違うものです。この文は慣用句のもじりですから、ウィットに富んだ、誰もがニヤリとするような一節なのですが、それが「ここでは恵まれない方、富める方 さらに芸術家を泊めています。」と訳したのでは、原文のニュアンスを何ら伝えていないので、解釈ではあるだろうけれど、翻訳とは言えないというつもりでした。つまりAquaさんが差別的と感じるような訳し方は翻訳としてはまずいわけですから。だからといって、お前ならどう訳すのかといわれると、難易度が高く、よい答は浮かびませんが。

La Colombe D'Or創業の時代には、車が普及し始めていますから、その時代ならvoitureは車でしょう。馬車と申し上げたのは、この慣用句が出現した時代のことです。いつ頃からこの表現が慣用的に使われるようになったかは、調べた限りでは不明でしたが。

en voitureのない loger à pied et à cheval という言い回しも、「(旅館が)徒歩の人も乗馬の人も泊める」という意味で古くからある表現です。昔の話ですが、こう掲げてある旅館は、旅人のために馬小屋や馬の手入れをする設備も備えてあったので、むしろ、馬でもお越しいただけますよ、のほうが焦点なのではないでしょうか。日本でいうと、宿場の旅籠のようなイメージですね。そのようなわけで、私には差別的表現とは感じられないのです。
メンテ
Re: 暗喩表現 ( No.4 )
日時: 2017/12/21 00:27
名前: Aqua

私が差別的な表現だと思ったのは、「恵まれない方、富める方」という翻訳のことです。
分かりやすく説明する為にですが、ご自分が徒歩で来た場合のことを考えてみてください。
馬に乗ってくる人と比較され、馬に乗って来ることのできない恵まれない人(貧しい人)という扱いです。
徒歩で来るだけで普通以下というわけです。
違和感や嫌な感じを受けませんでしょうか?

原文の慣用句に貧富の意味合いはないのだとしたら、
Paul Rouxさん自身の話、もしくは番組の翻訳者の意図が反映されているということです。


番組の解説はこうです。
「そもそも多くのアーティストが集まるようになったのは、Paul Rouxさんがいたから。
アート好きで、気さくな性格の彼を慕い、アーティスト達は作品を宿代の代わりに置いていくことも多かった。
Paul Rouxさんは当時、この言葉を宿に掲げていたという。芸術家へのユニークなメッセージである。」

宿代を払えない貧しいアーティストがいたわけです。
それゆえに、「恵まれない方、富める方」と翻訳したと考えられるのですが、
実際に、Paul Rouxさんが貧富の意味合いを込めた言葉かどうかというのが不透明です。

番組の翻訳者が、原文の慣用句の意味(貧富の意味合いはない)を理解していない可能性があります。
いかがでしょうか?
メンテ
Re: 暗喩表現 ( No.5 )
日時: 2017/12/21 15:29
名前: てふママ

可能性の話に関して、ああだこうだ言ってもしょうがないと思いますが、天下の放送局ですから、差別的表現は極力避けたいはずです。従って、この翻訳が差別的表現だという判断には至らなかったのでしょう。私は、「恵まれない方、富める方 さらに芸術家を泊めています」という日本語を聞いたとしても、差別的表現だとは感じません。貧しいアーティストを優遇した宿であるということが説明されているのですから尚更です。ただ、これを差別的表現だと感じるなら、それは個人の考え方なので、別にそれを否定も非難もするつもりはありません。Aquaさんが何を求めていらっしゃるのかよくわかりませんが、ご自分の考えが確固となさっている方のようですから、私に問いかけるまでもないのではないでしょうか。
メンテ
Re: 暗喩表現 ( No.6 )
日時: 2017/12/21 18:39
名前: Aqua

番組も結構間違えることがあるので油断なりませんよ。
ありがとうございました。
メンテ
Re: 暗喩表現 ( No.7 )
日時: 2017/12/29 18:38
名前: Aqua

すみません。補足で質問させてください。
こちらの慣用句は、フランス語のある程度の学習者であれば気づけるような有名なものなのでしょうか?
それとも習熟度が高くないと分からないようなマニアックなものなのでしょうか?
メンテ
Re: 暗喩表現 ( No.8 )
日時: 2017/12/29 21:08
名前: てふママ

慣用句だということがすぐわかる人は習熟度が高くても多くないと思います。でも、慣用句かも知れないと見当をつけて調べてみれば、辞書(ロワイヤル仏和辞典)にも出ている表現ですので見つけるのは難しくないと思います。また、古いフランス映画に興味のある人であれば、映画のタイトルとして聞いたことがあるとわかるかも知れません。
メンテ
Re: 暗喩表現 ( No.9 )
日時: 2017/12/29 21:55
名前: Aqua

私はここ最近、他のサイトで似たような質問をして色んな方に聞いて回っておりました。
結果、某サイトのフランス語学習者の中では、この原文の慣用句に気づく方はいらっしゃいませんでした。
衝撃だったのは、パリ在住30年の方が分からなかったことです。
意外だったのは、フランス語は全く分からないという方、そのお一人が気づいたということです。
改めて、てふさんの実力の凄さを思い知らされました。

この質問は、複数の問題を含んでいる為、私の中では未だ解決していません。
じっくりと取り組んでいきたいと思います。
来年もよろしくお願いします。良いお年を!
メンテ

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