Re: entrait の用法について ( No.1 ) |
- 日時: 2021/07/30 22:19
- 名前: てふママ
- bucoさん、こんばんは。
「entrer という完了動詞に対して半過去が使われているので、普通の状態や進行を表す用法ではないと思う」と考えられたそうですが、それはどうでしょう。考えすぎのように思えますが。
絵画的半過去は、おっしゃるように継起する行為について描写するときに用いるのが普通ですから、単独のentrerをどう捉えるかということになりますね。
私はこのentraitは、単に未完了の用法だと思います。完了動詞というのは、ご存知のように、動作が終局に達しなければ行われたとは言えない動詞ですから、半過去だとまだ途上であり、従って「入った」ではなく「入ろうとした(入りつつあった)」(この訳し方は微妙ですが)という意味になると考えます。
日本語訳で現在形にしてあるのは、臨場感を出すためもあるでしょうが、「入っていった」だと、完了と捉えられる懸念があり、未完了のニュアンスを出すために現在形が最も相応しい訳し方だと判断したのではないかと思います。どう訳せば、読者の頭にジュリアンが教会の扉を開けてまさに中に入ろうとしている映像が浮かぶか、考えた末の優れた訳だと感じました。
切断の半過去の場合の特徴として「時間的隔たりや突発性を示す状況補語を発話の冒頭に置く」がありますね。ここのVoilàをそれと等価と考えるのは無理があると思います。
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Re: entrait の用法について ( No.2 ) |
- 日時: 2021/07/31 00:02
- 名前: buco
- てふママ様
ご回答ありがとうございました。 なるほど。そうしますと、この entrait は Il mourait de faim.(飢えで死にかけていた)や J'oubliais.(忘れるところだった)のように、未完了や未遂を表す半過去の用法ということですね。 またVoilà は、Voilà le bus.(バスが来た)のように通常の提示や焦点化の用法という理解でよろしいでしょうか。
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Re: entrait の用法について ( No.3 ) |
- 日時: 2021/07/31 13:38
- 名前: てふママ
- 半過去のとらえ方、Voilàの用法ともに、ご理解の通りと思います。
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Re: entrait の用法について ( No.4 ) |
- 日時: 2021/07/31 14:18
- 名前: buco
- てふママ様
今回もありがとうございました。 半過去はいろいろな用法があってときどき迷いますが、素直に捉えた方がいい場合も多いと実感しました。
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Re: entrait の用法について ( No.5 ) |
- 日時: 2021/08/11 03:47
- 名前: buco
- てふママ様
それから、下から2行目の à qui l’on en eût tout au plus donné dix-septもやはり「条件法過去第二形」で、この場合は tout au plus (せいぜい、最大でも)に条件のニュアンスが見られるでしょうか。
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Re: entrait の用法について ( No.6 ) |
- 日時: 2021/08/11 14:36
- 名前: てふママ
- はい、eût donné で条件法過去第二形ですね。
でも、tout au plus に条件のニュアンスが含まれているということではなく、donner dix-sept ans が事実とは異なるので、現実的事実ではない仮定的事実とでも言いましょうか、そのこと自体に条件(仮定)が含まれています。 例えば、「そう言ってもよければ(せいぜい17歳に見える)」ですとか、「そう出来るとすれば(せいぜい17歳と想定できる)」というような捉え方ですね。
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Re: entrait の用法について ( No.7 ) |
- 日時: 2021/08/12 00:59
- 名前: buco
- てふママ様
なるほど勉強になりました。 ありがとうございました。
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