笑えるフランス語

街やWebで見かけた困ったフランス語をご紹介
笑えることが少なくなることを願って…

造語って言えば何でも許されるのか! 2004年09月25日(土)

  【Les.R(レ・アール)フランス語で"les. halle"という意味が中央市場で、(中略)造語で"Les.R"という名に決定 】

偶然TVを見ていたら出てきた新進女性デュエットのユニット名。中央市場は“Les Halles”とsがつくのが正しい。スペルを見てもわかるように、元々のフランス語のHallesに含まれる子音は、発音記号で書くと[l]である。けれどもカタカナで同じだからという理由で、“R”という文字を用いることにしたようだ。もちろんフランス語ではRを「アール」とは読まない。「エール」であり、しかも含まれている子音は、発音記号では[r]だ。あまりに無理矢理のこじつけではないか。仏・英・日をごたまぜにしているわけで、日本語では[l」と[r]の区別がないから構わないでしょ、という感覚なのだろう。私としては我慢ならない。Lesのあとのピリオドも不思議すぎる。ともかく、このユニット名は、外国語と思わず模様とでも思うしかない(^^;;;

http://www.lesr.jp/
(説明はBIOGRAPHYのコーナーにあり)
 

初の投稿ネタ!(k_noireさん提供) 2004年09月20日(月)

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【lu cafe de derrière 西麻布ドゥリエール】

証拠写真とともにネタを送っていただいた(笑)喫茶店の名前だそうだ。luは明らかにleの間違い。フランス語では、leを「ル」と発音するのだが、ローマ字感覚でluとつづり字を間違ってしまうのだろう。大事な冠詞なのだから、おろそかにしてもらいたくない。しかも発音が「ドゥリエール」?正しくは「デリエール」ですよ。

http://www.derriere.co.jp/
お店は上記の姉妹店。背景に写っている店の日除けを見ると、《RUELLE DE DERRIÈRE》と書かれている。「裏小路」といった意味である。ruelleが「小路」、de derrièreが「裏側の」という意味なので、これなら可笑しくはない。
http://www.derriere.co.jp/shop.html
しかし、こちらを見ると、あーあ「ルエル・ド・ドゥリエール」となっている、トホホ…正しい発音は「リュエル・ド・デリエール」ですよー!「フレンチシノア」などという英仏混在の奇妙な表現も使ってあるし、この会社の人の言語感覚はいったいどうなっているのだろう。送っていただいた写真でも、caféのアクサンがついたりつかなかったり、まちまちだし…

さて、実はもうひとつ大問題がある。derrièreだけを取り出して店の名前と称するのは、私の考えでは信じがたい暴挙だ!だって、derrièreだけだと、名詞では「お尻」という意味だもの!この単語は前置詞として使う場合は「〜の後ろに」という意味だが、店の名前として掲げるのなら、真っ先に名詞のほうの意味が頭をよぎる。8月23日のネタに挙げた《Au petit Coin》がもし隣にあったら、相当笑える眺めだろう。
 

もう訂正不可能(^^;; 2004年09月18日(土)

  【「ミルフィーユ」 フランス語でミルは千,フィーユは葉で,この菓子の名前は千枚の葉を意味する。 】

あまりに浸透しすぎて、正しい発音が普及するのは望めそうもないという例のひとつ。つづりはmillefeuilleで、意味は上記で正しい。milleとfeuilleの合成語である。確かにfeuilleの発音は中間的な母音が含まれているので難しい。もっとも近い表記は「フイユ」(イを小さくしてはダメ)であって、「フィーユ」でも「フィユ」でもない。実際に耳にすれば「フイユ」と「ファイユ」の中間くらいの音に聞こえるだろう。

「フィーユ」はどうあっても変だ。そう表記するのは、filleという単語であって、これは「女の子」という意味。「ミルフィーユ」という言葉を聞くと、いつも女の子がぞろぞろ千人も並んでいる姿が目に浮かんでしまう(笑)

ただ嬉しいことに、正しく「ミルフイユ」と表記してある例も少数だがWeb上には見られる。

http://g.pia.co.jp/Wonderland/jiten/10.html
 

すいせんしたくないっ! 2004年09月11日(土)

  【星の王子さま テグジュペリ 内藤濯・訳】

またまた、ひどく多い間違いを発見。しかも人名だから、これは大問題。ほとんど知らぬ人はいないほど有名な童話『星の王子さま』の著者、サン=テグジュペリの名前表記に関してである。

"Antoine de Saint-Exupéry"(アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ)というのが正しい名前である。Antoineの部分は、日本で言う下の名前なので省略するのは別に構わない。deは、昔貴族の名前だった名残(英語のofにあたる)なのだが、普通はフランスでも略しているから、これも問題ない。つまり、名字はSaint-Exupéryの部分だけと解釈してよいのだが、Saintを省くのはありえないことなのだ。saintは「聖」の意味で、「聖パウロ」だと"Saint Paul"(サン・ポール)となる(トイレの洗浄剤ではない!)。けれどもサン=テグジュペリの場合のSaintは、あくまで名字の一部なので、これをはずすと非常に奇異なのだ。Saint-Laurent(サン=ローラン)だって、「ローラン」とは言わないでしょ?

しかもグジュペリとは何事だ!「ウルトラ超入門」のコーナーでもちょっと触れたが、フランス語には単語をつなげて発音する決まりがある。Saint-Exupéryの場合、単独では読まないSaintの最後のtを、次のEと結びつけることによって「テ」の音が発生する。従って、Exupéryだけを取り出すなら「エグジュペリ」と読まなければならない。でも実際にはExupéryだけを取り出すことは、まずない。

この間違いに初めて出会ったのは、実はWebではない。もう相当何年も前になるが、サン=テグジュペリをとり上げたTV番組があり、そこでナレーターや出演者が「テグジュペリ」を連発していて、私は腰を抜かしそうになった。確かに「サン=テグジュペリ」は舌を噛みそうだし、言いにくいのはわかる。それならば、フランスでも親しまれている略称「サンテックス」(Saint-Exのところだけを取り出した言い方)を使って欲しいものだ。

http://www.kumon.ne.jp/comeon/material/japanese/books/010.html
 

小さくしないで! 2004年09月09日(木)

  【コンシェルジュ(Concierge)とは、フランス語で「鍵の番人」という意味。】
【コンシェルジェとは、フランス語で『案内人』という意味です。】

これは、と〜っても沢山見かける発音間違い。もしかすると、正しいほうが少ないかもしれない。まあ、意味のほうは前者のほうが近い。昔はアパートの入り口の鍵を管理している人(concierge)がいて(今でも残っているかも知れないが)、住人は外出から帰ってくるとconciergeを呼んで、中から鍵をあけてもらわないと建物に入れないという仕組みになっていた。発想としては現代のオートロックと同じ。このconciergeが気難しいオバサンだったりして、住人といざこざを起こしたりするのが、小説や映画によく描かれたものだ。

さて、conciergeの読み方は「コンシェルジュ」ではなく、「コンシエルジュ」。さらに正しく書くなら「コンスィエルジュ」だ。「エ」が大きいのと小さいのでは大きな差がある。フランス語では、「シェ」も「シエ」も「スィエ」も別の音なのだ。例を挙げてみよう。
chié シエ
chez シェ
ciel スィエル

http://www.ritz-carlton.co.jp/invitation/001concierge.html

http://www.bwg.co.jp/swpr/swprcon/consheruje.html
 

翻訳機は危険! 2004年09月08日(水)

  【好きが「comme」で大好きが「amour」】

これは、メルアドを考えてあげたり、メルアドのアイディアを求めたりする某掲示板のログ。小学生や中学生が集まる場のようだ。フランス語の単語をメルアドに使うのは人気があるらしく、フランス語の質問も多い。親切で教えてあげているのだろうが、生半可な知識や、翻訳機で出た結果を堂々と教えてあげているケースが目立つ(もちろん正しい答えもあるのだけれど)。

上記は、【フランス語で「好き」「大好き」はどう書くの】という意味の質問に対する答え。おそらく翻訳機にかけた結果なのだが、大笑いだ!“like”を翻訳機にかけると確かに“comme”が出てくる。しかし、これは「〜のように」という意味なのだ。英語の“like”に色々な意味があることを忘れるとこういう羽目に陥る。そういえば、マドンナの名曲“Like a virgin”を「Virginが好き」って解釈する有名なネタがあったっけ!(爆笑)

「大好き」がamourってのもなぁ…amourは「愛」「恋」であって、「大好き」ではない。これは“love”を翻訳機にかけて出た結果なのだろうが、英語の“love”には動詞と名詞がある。翻訳機の答えは名詞のほう。中学・高校あたりの外国語の知識では、品詞の概念が確立されていないだろうから、無理ないのかも知れないが。

正しい答えはどうなのかと言うと、結構「好き」関係はフランス語では難しいのだ。動詞aimerだけで、「好き」にも「愛している」にも使え、ニュアンスの差は副詞で補う。「好き」だけで1ページ書けそうだから、別にコーナーを作ろうかな(笑)

http://www4.fumi23.com/b/72/a.cgi?mode=past&no=4013
 

天使はミスを運ぶ? 2004年09月05日(日)

  【PETITE ANGE プチ・アンジュ《小さな天使》】

一部で人気の天使ネタをまたひとつ(笑)
フランス語の形容詞は、それが形容する名詞が男性名詞であるか女性名詞であるかによって形をかえる。angeは男性名詞なのに、ここで使われている形容詞のpetiteというスペルは女性名詞につく形なので、明らかな間違い!正しくは《PETIT ANGE》である。

そしてオヤクソクの発音間違い、しかも二重に勘違いされているような…(^^;; もし、スペルが《PETITE》なら、発音は「プティット(プチット)」だ。それでは正しいスペルの《PETIT》なら?

答えは「プティ(プチ)」。な〜んだ、それじゃあカタカナのほうだけは合ってるのね、と思ったら大間違い。《PETIT ANGE》は《PETIT》と《ANGE》を別々に読むのとは発音が違って、「プティタンジュ(プチタンジュ)」とならなくてはいけない。単語が並ぶと、単独では発音しなかった最後の《t》の文字が発音されるようになるのだ。面倒くさい決まりだが、それがフランス語の大きな特徴のひとつでもある。

ちなみにスペルは正しいのに、読み方が「プチ・アンジュ」となっている表記も、検索でたくさん出てくる…がっくり。お願いだから、サイト名決める前に、ちゃんとわかる人に確認とってくれぇ〜!

http://www.buru.co.jp/ange/
 

ひとつもあってない(^_^;) 2004年09月02日(木)

  【フロー・デ・リー(Fleur-de-lis)とは、フランス語で、”ゆりの花”】

普通カタカナ表記をするなら「フルール・ド・リス」でしょ。deは「ド」または「ドゥ」なのに、「デ」と書かれる間違いが後を絶たない。スペイン語じゃないんだってば!

fleurを「フロー」と読んだり、lisを「リー」と読んだりしているのは、フランス語の単語は最後の子音字を発音しないことが多いというのを、どこかで教わったのかな?でも残念でした、fleurは最後のrを発音するし、lisは最後のsを発音するのだ。

こんなに間違えるのなら、いっそのこと「フローデリー」と1単語の造語にしてしまえばいいのに…
百合の花はフランス王家の紋章にも使われていた由緒正しい花なのに、こんな発音間違いはちょっと悲しい。

http://www.kouka.ne.jp/~w1025478/index.html
(説明は「フロー・デ・リー概要」のリンクへ)
 


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