つまみ食い

フランス語に限らずフランスやフランス文化について、ちょっと面白い話や、
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“コンピュータ”から50年 2005年08月02日(火)

  フランス語でコンピュータのことを《ordinateur》(オルディナトゥール)と言う。この言葉が出来てから今年で50年経つ。1955年にIBMフランスが最初のマシンを商品化する際に、フランス語ではどういう名前にすべきかについて、政府が10人の科学者に案を出させたのだ。《ordinateur》を提案したのは、ソルボンヌのラテン文献学教授、ジャック・ペレ。これが採用されて、IBMは《ordinateur IBM 650》という商品名でマシンを売り出し、以後この単語がコンピュータを指すフランス語の普通名詞となっていった。《ordinateur》は「秩序立てるもの」というような意味の造語である。もし他の人の案が採用されていたらと思うと、面白い。他案は以下の通り。

ondelette(オンドレット):「水面の波動」
variation(ヴァリアスィヨン):「変化」
complexité(コンプレクスィテ):「複雑さ」
élémentaire(エレマンテール):「基礎の」
cristal(クリスタル):クリスタルガラス」「水晶」
miroir(ミロワール):「鏡」
désenchevêtrement(デザンシュヴェトルマン):「もつれをほどくこと」
rayonnement(レイヨヌマン):「放射」「輝き」
hélice(エリス):「プロペラ」「螺旋」
icône(イコーヌ):「聖画像」、現代では「アイコン」の意味にも使う

舌をかみそうなdésenchevêtrementにならなくて良かった!

(2005.8.2)
 


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