つまみ食い

フランス語に限らずフランスやフランス文化について、ちょっと面白い話や、
あまり知られていない情報をアトランダムにご紹介します。

『ハリー・ポッターと賢者の石』フランス語版 2004年07月01日(木)

  この大人気小説の仏訳が面白い。そもそもフランス人は言葉遊びが大好きなのだが、この作品においても、ウィットに富んだ表現がそこかしこに見られるのだ。オリジナルの英語版と比べてみると、文を省いたり書き足したり、かなり自由に翻訳している。語呂合わせの妙は例えば「組分け帽子」という章題にもうかがえる。原文では"The Sorting Hat"つまり単に「分類する帽子」の意味で味も素っ気もないが、仏訳では"Le Choixpeau Magique"(ショワポー・マジィク)と訳されている。実はフランス語には"choixpeau"という語は存在せず、これは"chapeau"(シャポー=帽子)という語に"choix"(ショワ=選ぶこと)というニュアンスを付け加えた造語なのだ。何とも洒落ているではないか。私が翻訳者だったとして、仏語版から訳すとしたら、「魔法の選ぼうし」とでも訳そうか(笑)

(投稿日時不明)
 

フランスでは「マクド」 2004年06月01日(火)

  ファストフード店の「マクドナルド」を関東方面では「マック」と呼び、関西方面では「マクド」と呼ぶというのが定説らしいが、フランスでは「マクド」なのだ。だからと言って、フランス語が関西弁に近いというわけでもない。言葉の流れの柔らかな関西弁を話す人はフランス語の発音が得意だとか、「い」と「え」の中間母音に慣れている東北地方の人はフランス語の発音が得意だとか、様々な説が巷に流布しているが、真偽のほどは不明にしろ、歯切れのよい江戸弁はどうやらあまりフランス語向きではないようだ。

(投稿日時不明)
 

憲法に違反して 2004年05月01日(土)

  フランス語のすべての単語の中で最も文字数の長い単語は、「憲法に違反して」という意味を持つanticonstitutionnellement(アンティコンスティテュスィオネルマン)なのだそう。もう記憶が定かではないが、エドゥアール・デュジャルダンというフランス作家の『もう森へなんか行かない』という小説の中にも、この単語がフランス語の単語の中でもっとも長いものだ、という一節があったように思う。

(投稿日時不明)
 

シャネルよ、お前もか 2004年04月08日(木)

  2004年4月6日付の新聞によると、フランスのかの有名ブランド、シャネルが東京国際フォーラムのガラス棟に「シャネル・ルミエール」という副名称をつけることにしたそうだ。これにはさすがにあきれてしまった。「光」の意味のlumièreの読み方は「リュミエール」であり、断じて「ルミエール」ではない。カタカナ表記に限界があるのはもちろんだが、「ル」と「リュ」ではまったく音が異なる。同じようなことを「日本語の部屋」でも書いているが、いくら日本人には発音しにくいからと言って、明らかに間違いである読み方を採用するとは!自国語を大切にするフランスを代表するシャネルともあろう会社が!

(投稿日時不明だが、内容からすると2004年の4月頃と思われる)
 

母なる海 2004年03月01日(月)

  引用されることも多いのでご存知の方もおありだろうが、三好達治の詩集『測量船』所収の「郷愁」という詩に、日本語の「海」という文字の中には「母」という文字が含まれているが、フランス語の「母」という語の中には「海」がある、という意味の一節がある。学生時代に初めてこのことを知った時にはとても感激した。フランス語で「母」はmère、「海」はmerとつづり、確かにmèreの中にmerというスペルが含まれている。日本語ではあくまで文字の形のみの対比だが、フランス語の場合、どちらも同じ女性名詞で、しかも発音はまったく同じ「メール」だ。「母なる海」という表現がまさにぴったりくる。

(投稿日時不明)
 

太陽は黄色い 2004年02月01日(日)

  フランスの太陽は黄色い。とは言っても、フランスの大気が何か特殊なわけではない。フランス人の幼児にクレヨンで太陽を描かせると、色についてあらかじめ指示を与えない限り、黄色で塗るのが普通らしい。日本では、国旗の日の丸の影響があるのかどうか定かではないが、太陽は赤いものというイメージが浸透しているので、これはちょっと驚く。言葉に関しても同様で、フランス語には「黄色い太陽」「黄金色の太陽」という言い方はあるが、「赤い太陽」とは普通言わない。中天の太陽は、そういえば実際、赤より黄色に近いわけで、フランスのほうが写実的なのだろうかなどと思ってしまう。日本の子供はいったいどこの時点で、太陽の色が「赤い」と刷り込まれるのだろう?

(投稿日時不明)
 

おつりは足し算で 2004年02月01日(日)

  買い物の際おつりの計算は、客が渡した金額から品物の金額を引くのが当たり前と私たちは思っているが、フランスではそうではない。一言で言えば日本は「引き算」、フランスは「足し算」という方式の違いがある。欧州通貨ユーロで話を進めるとこんがらかるので、日本円で例を挙げよう。3,500円の買い物に1万円札を出したとしよう。私たちはすぐ「10000-3500=6500」と考えるだろう。レジでは「大きいほうからお返しします」と、まず5千円札1枚と千円札1枚を渡してくれるかも知れない。これをフランス式でいくと、まず買い物の値段「3,500円」に端数を加えて繰り上げるようにしていく。つまり最初に500円玉をくれて「はい4,000円」(3500+500)と言う。それから千円札1枚をくれて「はい5,000円」、最後に5千円札をくれて「はい10,000円」(この1万円とは客が出した1万円に相当)となる。これは慣れていないとかなり混乱する。私も書いていて混乱するくらいだ(笑)

(投稿日時不明)
 

読み上げ読み下げ 2004年01月01日(木)

  英語の本の背表紙に注目したことがあるだろうか。英語圏で出版された本がすべてそうなのかどうかはわからないが、一般にはタイトルが上から下へと書かれている(読み下げ)。これに対し、フランスで出版される本のほとんどは、タイトルが下から上へ書かれているのだ(読み上げ)。本を立てておくぶんには、どちらでも読みにくいとは感じないが、本を横に寝かせておくとなると、そうはいかない。フランスの本を寝かせて、しかもタイトルが読みやすいようにするためには、裏表紙が上にくるように置かなくてはならない。表紙が上に来るように置いてしまうと、背表紙のタイトルが逆さまになり、極めて読みにくい。フランス人は気にならないのか不思議だ。

(投稿日時不明)
 


- Web Diary UpVersion ver 1.30 -