過去ログ[0001] |
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l'arrêt à froid / l'arrêt froid
言うまでもなく、原子力発電所のニュースの中で目に付いた表現である。原子炉の冷温停止状態を言うときに使われており、調べた限りではl'arrêt froidのほうが例が多いが、私としては何となくàがつくほうが、それらしい雰囲気で気に入っている。
en U
「コの字型」を英語であらわすにはU-shapedと言うのだということを聞いて、フランス語では何だろうと調べてみたら、やはりUを使うのだった。もちろんアルファベットには「コ」にぴったり相当する形状の文字がないから、机を並べたりして角があってもUを使うことになるのだ。
prêt-à-manger
プレタ マンジェ
「ファストフード/ファーストフード」をあらわすフランス語としては、restauration rapide(レストラスィヨン ラピド)が推奨されているが、prêt-à-mangerがいかにもソレらしい表現なので気に入っている。もちろんこれはprêt-à-porter(プレタポルテ)「高級既製服」をもじった表現だろう。prêt-à-porterは字義通り訳せば「着る準備のできた」という意味だ。このporter「着る」の部分をmanger「食べる」に置き換えたわけである。
ちなみにフランスのマクドナルド公式サイトに行くと、ステータスバーには、"MacDonald's France, restauration rapide"と書かれている。
judokate
ジュドカト
谷亮子さんの引退記事をフランス語で読んでいるときに出てきた単語である。仏和辞典には、judokaという名詞が載っていて、同じスペルで男性にも女性にも使うという前提だ。私もこの従来のjudokaというスペルしか知らなかった。
ところがネットで調べたところ、女性柔道家を指すのにjudokaという単語を使う例より、judokateという単語を使うほうが遙かに多いことに気づいた。judokateは、judokatの女性形である。どちらも辞典には載っていないスペルだ。
なぜこのような単語が出来たかの経緯を想像するに、まず日本語の「ジュードーカ」という音をそのままフランス語のスペルに置き換える場合、aで終わる名詞にするとフランス語に馴染まないからではないだろうか。「ア」の母音で終わるフランス語の名詞は、読まない t の文字が最後につく場合が多い。état(エタ)、baccalauréat(バカロレア)などがそうだ。だから、まず男性柔道家を指す語として、judokatと表記されることが多くなった。そして、女性柔道家はフランス語の文法に従い、judokatに女性形語尾である e をつけたスペルとなったと考えられる。
démence
デマンス
別の言い方をすれば「痴呆」のことである。日本では「痴呆」という用語を「認知症」とあらためることに厚生労働省が決めたために、ほとんど見かけなくなったが、辞書の訳語には「痴呆」が残っている。
認知症の家族を持つ身としては、毎日この言葉が頭から離れないが、これをフランス語で何と言うのか気になって調べること自体が、気晴らしになっているのかも知れない。
「アルツハイマー型認知症」は、la démence de type Alzheimer と呼ぶ。
la consommation d'alcool par les mineurs
ラ コンソマスィヨン ダルコル パール レ ミヌール
電車内のポスターで、"underage drinking"という英語を見かけ、英語は簡単にうまい表現が作られるなあと感心した。でも例によって、フランス語だったら何と言うのだろうと、気になって仕方がない。それで色々調べてみたが、結構堅い言い方しか見つからなかった。それが上記の表現である。直訳だと「未成年者によるアルコール消費」という意味になる。
presse-papiers
プレス パピエ
フランスのサンルイ(SAINT LOUIS)社のペーパーウェイトに、とても素敵なデザインがあるという話を聞き、はて、「ペーパーウェイト」は何ていうのだっけと調べてみたら、そうか!日本語で「文鎮」と訳される語だった。語の成り立ちは「紙を押さえるもの」。
ちなみに、パソコンの「クリップボード」、Microsoft Officeの「クリップボード」も、presse-papiersと言う。
la dame à la lampe
ラ ダム ア ラ ランプ
クリミア戦争における傷病兵看護で名高い、イギリスの看護師フローレンス・ナイチンゲールをこう呼ぶ。英語では"The Lady with the Lamp"だ。
「天使のフランス語」コーナーを作成する際に、「白衣の天使」とフランス語でも言うのだろうかと調べていて、この表現に出会った。「白衣の天使」という表現の由来は、1936年に公開されたナイチンゲールの生涯を描いた映画"White Angel"のようだ。これの仏題は、"Ange blanc"(アンジュ ブラン)で「白い天使」という意味である。「白衣の天使」をフランス語に直訳すれば《ange en blanc》となるが、フランス語では看護師の別称としては使われていない。
thon rouge
トン ルージュ
とりわけアメリカから非難の的となっているクロマグロの輸入にかんするニュースは記憶に新しいが、フランス語でクロマグロは一般にはthon rouge、直訳すれば「赤いマグロ」と言う。thon noir、直訳で「黒いマグロ」はクロマグロではなく、「大西洋マグロ」のことらしい。色の表現が変わってしまうのが面白い。
Dehors ou mort!
ドゥオール ウ モール
フランス映画『ジャック・メスリーヌ フランスで社会の敵No.1と呼ばれた男』Part 1 ノワール編を観てきた。映画の中で、何度も繰り返されるキーフレーズ"Dehors ou mort!"。直訳では「外か死か」という意味だ。厳酷の監獄に囚われているメスリーヌが脱獄を企てるときに使う言葉であり、彼の置かれた状況と感情を非常によく表わしたものだ。これを字幕では「脱獄か死か」と訳していたが、なかなかうまい訳し方だと思った。