笑えるフランス語

街やWebで見かけた困ったフランス語をご紹介
笑えることが少なくなることを願って…

すいせんしたくないっ! 2004年09月11日(土)

  【星の王子さま テグジュペリ 内藤濯・訳】

またまた、ひどく多い間違いを発見。しかも人名だから、これは大問題。ほとんど知らぬ人はいないほど有名な童話『星の王子さま』の著者、サン=テグジュペリの名前表記に関してである。

"Antoine de Saint-Exupéry"(アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ)というのが正しい名前である。Antoineの部分は、日本で言う下の名前なので省略するのは別に構わない。deは、昔貴族の名前だった名残(英語のofにあたる)なのだが、普通はフランスでも略しているから、これも問題ない。つまり、名字はSaint-Exupéryの部分だけと解釈してよいのだが、Saintを省くのはありえないことなのだ。saintは「聖」の意味で、「聖パウロ」だと"Saint Paul"(サン・ポール)となる(トイレの洗浄剤ではない!)。けれどもサン=テグジュペリの場合のSaintは、あくまで名字の一部なので、これをはずすと非常に奇異なのだ。Saint-Laurent(サン=ローラン)だって、「ローラン」とは言わないでしょ?

しかもグジュペリとは何事だ!「ウルトラ超入門」のコーナーでもちょっと触れたが、フランス語には単語をつなげて発音する決まりがある。Saint-Exupéryの場合、単独では読まないSaintの最後のtを、次のEと結びつけることによって「テ」の音が発生する。従って、Exupéryだけを取り出すなら「エグジュペリ」と読まなければならない。でも実際にはExupéryだけを取り出すことは、まずない。

この間違いに初めて出会ったのは、実はWebではない。もう相当何年も前になるが、サン=テグジュペリをとり上げたTV番組があり、そこでナレーターや出演者が「テグジュペリ」を連発していて、私は腰を抜かしそうになった。確かに「サン=テグジュペリ」は舌を噛みそうだし、言いにくいのはわかる。それならば、フランスでも親しまれている略称「サンテックス」(Saint-Exのところだけを取り出した言い方)を使って欲しいものだ。

http://www.kumon.ne.jp/comeon/material/japanese/books/010.html
 


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