笑えるフランス語

街やWebで見かけた困ったフランス語をご紹介
笑えることが少なくなることを願って…

deをつけりゃいいってものではない 2012年08月15日(水)

  【Curry de beef カリー・ド・ビーフ】
【Curry de pork カリー・ド・ポーク】
【Hash de beef ハッシュ・ド・ビーフ】

こちらも投稿によるネタ。成城学園近くにあるカレー屋さんのメニューだそうである。「○○ de XX」というのは確かにフランス語の表現で(スペイン語にもあるが、発音は「デ」なので、「ド」ならフランス語的にしたと考えてよいだろう)「XXの○○」という意味である。

だが、この料理名は、最初の2つは英仏ごちゃ混ぜ。正しいフランス語なら「ビーフカレー」は、Curry de bœuf(キュリ ド ブフ)、「ポークカレー」は、Curry de porc(キュリ ド ポール)となる。

3つ目は更に恥ずかしい。「ハヤシライス」の「ハヤシ」のことだが、英語ですらないのだ。英語ではHashed beef(ハッシュド ビーフ)である。deを独立させてしまうのは、いくらなんでもひどい。フランス語には、似た言葉にhaché de bœuf(アシェ ド ブフ)というのがあるが、これは牛挽肉のことである。

フランス語でない単語をdeでつないでしまうこの手の例はいくらでもあるが、あまりカッコイイものではない。
 

日本がターゲット! 2012年08月14日(火)

  【Saint-Valentin セント・ヴァレンタイン村】

お知らせいただいたネタである。有名な日本のフランス旅行ガイドブックにこの村の紹介があるそうだ。フランスの村であるから、当然「セント・ヴァレンタイン」という英語読み(しかも英語のスペルはSaint Valentineだから、1文字違う)は正しくはなく、「サン・ヴァランタン」と発音すべきだ。

ところが調べてみて驚いた。日本郵便のサイトに「セント・ヴァレンタイン村に“愛”を誓おう!キャンペーン」というページがあるのだ。これはもう「サン・ヴァランタン」と発音しては、日本人には何のことだかわからないために、よく知られている「セント・ヴァレンタイン」という英語読みにすることを、日仏で取り決めてあるに違いない。

さらにびっくりするのは、この村の公式サイトである。「日本事務局へのお問い合わせサイト」「日本人担当者が綴る、村の案内ブログ掲載中」という日本語のバナーがあるのだ。この村は観光収入のほとんどを日本人のカップルに依存しているものと思われる。観光客を呼ぶためなら、正しいフランス語読みを英語読みにされても構わないという姿勢のようだ。事実、このブログでも日本人スタッフが「ヴァレンタイン村」という読み方で村を紹介している。こうなれば、我々ごときが目くじら立てても仕方ないのかも知れないが、フランス語を大事にしないなんて、フランスらしくないなあ。せめてどこかに「正式にはサン・ヴァランタンと発音します」くらいのことは書いておいて欲しいというのが、投稿者さんと私との共通の意見だ。

http://www.post.japanpost.jp/whats_new/2012/0116_01.html(日本郵便)

http://www.village-saint-valentin.com/saint-valentin(村の公式サイト)
 

鬼門の単語 2012年04月22日(日)

  【La Femme ラ・ファーメ】

お知らせいただいたネタである。エステ・サロンの名前で、発音がひどい。femmeは「ファーメ」などとは決して読まない。これが何語であるとも、これこれの意味であるとも、サイトにはいっさい記載がないが、私の知る限り、フランス語に間違いないだろう。

La Femme の読み方は「ラ・ファム」が正しい。意味は「女性」「女」だ。もともとfemmeという単語は、フランス語としても読み方が特殊で、綴り字と発音の規則に合致していない。それでも語末のeが「エ」の音になることはないので、明らかな読み間違い。どこからこんな読み方を拾ってきたのか不思議だ。

http://esthe-la-femme.com/index.html
 

惜しい! 2011年11月26日(土)

  【boulangerie ブーランジェリー】

今朝の新聞広告にデカデカと出ていたT-falのホームベーカリー。いいなあ、欲しいなあと思ったが、名前を見てがっくり。boulangerieはフランス語で「パン屋」の意味だが、発音は「ブーランジュリ」(「ブーランジュリー」でもよい)が正しい。「…ジェリ」ではなく「…ジュリ」だ。これは初学者ありがちな発音間違いなので、とりわけ気になる。

http://www.club.t-fal.co.jp/products/CA/homebakery/bl_top.html

ちなみに同製品は、フランスではT-fal(フランスではTefal)と同じSEBグループのMoulinexというブランドから出ている。名前は英語とスペイン語ちゃんぽんで《HOME BREAD UNO》と言うらしい。
http://www.speeder.fr/cuisson/11296/achat-vente-machine-a-pain-machine-a-pain-moulinex-ow310130
 

笑えないかも 2011年08月28日(日)

  【Soumaré スーマル】

たった今、テレビで世界陸上を見ていて、女子100mの予選第6組で、フランス人選手が1位になった。「スーマル選手」と紹介され、テレビの文字表記も「スーマル」となっている。

ところが当の選手がアップで映り、ゼッケンを見た途端、あれれ?どうもSoumareではなく、Soumaréとアクサンがついているように見える。そこで、フランスのサイトを調べてみると、やっぱり彼女の名前はMyriam Soumaréだ。これは絶対に「スーマル」とは読まず、「スーマレ」が正しい。

アメリカの報道だとアクサンはつけないので、Soumareというスペルになっている。世界陸上のようなインターナショナルな競技の場合、アクサンがつけられないで、読み方が間違っても、本人は気にしないのかな。
 

助産師さんがマッサージ??? 2011年05月27日(金)

  【Le Sage femme ル・サージュ ファム】
【Sage Femme サージュ・ファム】

お知らせいただいた情報である。前者はリラクゼーション・サロンの名前、後者はスタディー・グループの名前だ。sageは「賢い」という意味の形容詞、femmeは「女性」という意味の名詞なので、おそらく「賢い女性」というつもりの命名だろう。しかし、フランス語では、sage-femme(一般にハイフンが入る)は、「助産婦」という意味なのだ。そして普通これは女性をさす名詞なので、つく冠詞はleではなくlaでなければならない。

le sage-femmeという言い方がないではない。フランスをはじめ諸外国では、男性の助産師が存在する。まだ仏和辞典などには載っていないが、男性の助産師の場合、男性名詞になるわけだから、leという冠詞をつける例が実際にある。従って、このリラクゼーション・サロンは、「男性助産師」という名前だということになる!フランス人の妊婦さんが「産まれそう!」と駆け込んで来たら、どうするつもりだろう?(笑)サイトにはもちろん、妊婦さんには施術出来ませんと書かれているが、まったく別問題だ。

sageとfemmeを組み合わせるなら、普通femme sageという語順になるが、これは「貞淑な女性」という意味になる。「賢い女性」という意味にしたければ、femme intelligente(ファム アンテリジャント)とすべきだろう。

http://www.le-sage-femme.net/
http://sagefemme-etude.com/
 

こんな有名メーカーが… 2011年05月24日(火)

  【ハーゲンダッツ Crêpe Glacé クレープグラッセ】

電車の中で広告を見かけ、えーっ!?とびっくり。
crêpeは女性名詞なので、フランス語の規則では形容詞は女性形にしなければならない。glacéでは男性形のままだ。つまり、crêpe glacéeが正しいつづり。

ところが説明を見ると、クレープアイスクリームと書いてある。それならば、glecé(グラセ)「凍った/糖衣のついた」ではなく、glace(グラス)「アイスクリーム」のほうが、ふさわしいのではないか?フランスには、crêpe glaceならば、ちゃんと存在するし、レシピなども紹介されている。

http://www.haagen-dazs.co.jp/crepe_glace/index.html
 

えっ!そうなのか! 2011年02月14日(月)

  【PATISSERIE Coin de rue 洋菓子店コアンドル】

このところ盛んに宣伝している江口洋介、蒼井優出演の映画。名前はかなり以前から知っていた。昨日別の映画を観に行って、この映画の予告編が流れ、タイトルを見てびっくり仰天。「コアンドル」って変な名前だなーと思っていたのだが、スペルが判明した。ええええ〜?Coin de rueなのか!その読み方ではフランス語とは思わなかったぞ(笑)

Coin de rueの発音は「コワン ド リュ」(「コアン」とも書く)であって、「…ドル」などとは決してならない。意味は「街角」なので別におかしくもないが、この読み方は我慢ならない。

映画公式サイト
http://www.coin-de-rue-movie.com/about.html
 

経緯を聞いてみたい 2011年02月02日(水)

  【Belle Lecheveu ヴェール・レッシュブ】

これは、お知らせいただいた情報。情報提供者さんが行っていらっしゃる美容室の店名だそう。ネットで調べても、多店舗展開のお店だということがすぐわかる。

この店名については、ひどいフランス語だという指摘が、日本のブログでも、フランス人観光客のブログでもすでに取り上げられていて、今更という気もするが、皆さん、あまりのひどさに解説をなさっていないので、取りあえず解説をしたいと思う。

まあ、店名はフランス語由来ですとは、どこにも書かれていないので、言い逃れはできるだろうが、フランス語が元であることは明らかだ。おそらく「美しい髪」とか、「髪を美しく」などというニュアンスの店名にしたかったのだろう。

どこから手をつけてよいやら、迷うが、まず発音。Bの文字に「ヴ」というカタカナを使う意味がわからない。「ヴ」を使うのはVだ。ただ、同じ系列の店なのかカタカナ表記が「ベル・レッシュブ」という店名も存在する。「ベル」ならBelleの発音としては正しい。

次にLecheveuのほう。これは本来Le cheveuと2単語になるべきもので、「髪」を意味するcheveuに、定冠詞のleがついたもの。2単語を1単語であるかのようにくっつけて書いてしまうのは、ロゴなどではよくあることなので、まあよいとしよう。それでも読み方で「レッシュブ」と、小さな「ッ」を入れるのは不思議だし、そもそもLeの読み方は「レ」ではなく「ル」。まあ、平均的な表記にすれば、「ベル ル シュヴー」となる。

さて、文法的にどうかということになるが、これが滅茶苦茶で意味不明なのだ。もし「美しい」を「髪」を形容する形容詞として使うつもりなら、Belleは大間違い。「髪」cheveuは男性名詞なので、beau(ボー)というスペルを使わなくてはならない(belleはbeauの女性形)。しかも特殊な単語を除いて「形容詞+冠詞+名詞」という語順は変なので、冠詞を頭に置かなくてはならない。つまり「美しい髪」なら、le beau cheveuとなるのが正しい。

belleは、形容詞の女性形のほかに、名詞としての用法もある。「美女」という意味だ。でも、これを「髪」と関連づけるのなら、「美女の髪」くらいしか思い浮かばないが、その場合はles cheveux de la belleとなる(「髪」は複数が一般的なので複数形にした)。

いったい誰がどのような意味を想定して、どうやってこの店名をつけたのか、本当に知りたいものだ。
 

美味しいのに 2011年01月10日(月)

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【Boîte Fleur ボワテ フルール】

いただき物のチョコレート。原産国はフランスだが、日本語のパッケージに入っている。パッケージの上面を見たときには気づかなかったが、側面にカタカナが書いてあり、「ボワテ フルール」と書かれている。よくある発音間違いだ。boîteというのは「箱」の意味で、「ボワト(ボワット)」と読む。最後の音は正確には「トゥ」の軽い音なので「テ」にはならない。

しばらくぶりにアクセスしたら、サイト改ざん被害により、ここのログがいくつか消えているようだ。確か2010年もいくつか記事を書いたと思うが、バックアップはしばらく前のものまでだったので、残念ながら復活できない。
 


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